二次創作・キャプテン翼黄金世代列伝「猛虎日向小次郎」その5

キャプテン翼小説
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決勝戦は期待にそぐわぬ激戦であった。
大空翼はケガによりベストコンディションではなかったものの、強烈なドライブシュートと神がかり的なプレイで何度も東邦からゴールを奪った(若島津も古傷の痛みがよみがえったことにより、ベストの状態でなかったことを補足しておく)。
日向のタイガーショットもまた炸裂した。
しかし、延長残りわずかな時点で南葛が1点をリードし、日向はまたしても大空翼にかなわないのかと当時多くのサッカー関係者が感じていた。
猛虎の爪が飛び立とうとする翼をつかんだのは試合終了間際のことであった。
まさに奇跡のプレイであった。
ゴール前の攻防によるもつれ合いの中、倒れた沢田タケシの脚が偶然上を向いたことを日向は見逃さなかった。
脚を利用しての高いジャンプと打点から繰り広げられたオーバーヘッドキックは、数多くのゴールを積み重ねてきた日向にとっても、一、ニを争う見事なシュートであった。
森崎とそれをフォローした翼のふたりを吹き飛ばし、シュートはゴールに突き刺さった。
日向が大空翼に再び追いついた瞬間だった。
試合はこのまま引き分けた。
単独ではなかったが、日向もついに日本一となったのである。
(日向は日本一になっていないことを、大会前に新田瞬に揶揄されたという証言がある。そのため、ひときわ日本一になることにこだわっていたという。また、新田瞬については、後に若島津の腰巾着と化していたことから、この件で若島津に制裁を受けたのではないかという説がある。)
結果的に引き分けで日本一となった日向であるが、実はこの試合の後半、翼との勝負にこだわるあまり、得点機会を失うことがあった(ゴールではなく、倒れかけた翼の身体にシュートを放った)。
これを甘いと見るか、彼らしいと見るかは評価が分かれるだろうが、彼が慕われるのはこんなところにあると考えるのが妥当であろう。

日本一となった日向には世界の舞台が待ち受けていた。
フランスで行われる国際ジュニアユース大会に当然ながら彼も日本のエースストライカーとして選出されたのである。
彼ら黄金世代はすでに高校生の強豪チームを相手にしても勝つほどの実力を兼ね備えており、日向は充実した気分でヨーロッパへ乗り込んでいった。
「世界は甘くなかった。シュナイダーに吹き飛ばされたときに、俺は自分の未熟さを知った」
日向は当時をそう述懐している。
まず立ちはだかったのが、若林源三の所属するハンブルグであった。
後の世界的プレイヤーであるカール=ハインツ=シュナイダー、ヘルマン=カルツ、さらには若林源三を擁した当時ドイツで最強を誇ったチームであった。
大空翼、岬太郎、三杉淳が不在であったとはいえ、黄金世代の日本ジュニアユース代表は5対1の屈辱的なスコアで敗れる。
日向のタイガーショットは若林に通用しなかった。
それどころか、ペナルティエリア外からのシュートが通用しないことに気づいた日向が、ペナルティエリア内に入りこんでシュートを放ったことを若林に酷評されてしまう。
シュナイダーやカルツには子ども扱いといってもいいほどのあしらいを受け、ラフプレイからもみ合いになった際には若林から鉄拳を食らった。
久々に味わう屈辱と絶望だった。
後に、このとき若林がつらく当たったのは、日本を世界的なレベルに高めるために嫌われ役を買って出たからだと知るが、このときの日向の心理状況はいかなものであっただろうか。
しかし、努力の人である日向はくじけなかった。
むしろ、まだまだ世界にはすごい連中がいることがわかって、興奮さえ覚えていたと日向は当時を懐かしんで答えている。
大空翼、岬太郎が合流したこともあって、日本の戦力は拡充された。
苦戦続きではあったが、後には三杉淳が、さらに決勝では若林が試合に出場することで決勝まで勝ち進み、日本は決勝で見事西ドイツ(当時)を破って優勝する。
ブラジルこそ出場していなかったものの、日本の黄金世代が初めて世界一となったのがこのときであった。
大会得点王はシュナイダーであったが、日向もイタリア、アルゼンチン、フランス、そして西ドイツからも得点を奪い、世界にその名をアピールした。
日向は大会中、吉良から送られた通常よりはるかに重い特注のサッカーボールを蹴り、シュート力を高めていたという。
当初は脚に痛みを感じたが、気づいたときには以前よりはるかに強いキック力を身につけていた。
日向はそのシュートを「ネオタイガーショット」と名づけた。
”パーフェクトキーパー”ジノ=ヘルナンデスや、”鋼鉄の巨人”デューター=ミューラーから点を奪ったのもこのシュートだった。
「世界一のストライカーを目指す」
おぼろげながらも日向はこのときからそのような夢を抱きはじめたという。

その6へと続く

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