二次創作・私が考えたキャプテン翼の最終回 その4

キャプテン翼小説
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翼は数年ぶりに日本の大地を踏むことになった(非公式に訪問していたという報道もあるが、定かではない)。

熱狂的に日本に迎えられた翼であるが、テレビなどへの出演は避け、試合へ専念することにこだわった。

彼としてもこの最後の晴れ舞台で無様な姿は見せたくなかったのだろう。

引退後、やや肥満していた肉体も絞り込まれていた。

蛇足かもしれないが試合の結果についても記しておこう。

翼率いる日本代表が世界選抜相手に3対2の勝利。

2ゴール1アシストの活躍を翼は見せた。

決勝点は翼のオーバーヘッドキックによるものであった。

往年のスピードはどの選手にもなかったが、それでも伝説的選手たちの高度なテクニックは見るものを酔わせた。

日本代表たちは往年を思い出させる息のあった連携を見せ、世界選抜たちも急造のチームとは思えないほどの健闘を見せた。

特に翼と岬の“旧”ゴールデンコンビが敵陣に切り込む姿に涙する観客もあった。

大空翼は試合後のインタビューで「やっぱり引退を撤回しようかな」などと相変わらず空気の読めないジョークを飛ばしていたが、一連の再燃した翼フィーバーは大盛況に終わった。

その後、翼はブラジルの古巣サンパウロFCの監督へと就任したが、指導者としての特性はこのサッカーの申し子にはなかったらしく、リーグ戦低迷の責任を取って、わずか1シーズンで退任した。

FCバルセロナでもコーチを務めたが、彼の指導レベルについていける選手は誰もおらず、こちらも1シーズンで退任している。

教えを受けた選手のひとりは「俺たちの誰よりも翼コーチの方がうまかった。とんでもないテクニックとパワーだった。一体、全盛期はどんなすごかったのだろう」と証言している。

他にもコーチ就任の話があったというが断り、現在はブラジルサッカー協会の役員にロベルト本郷の口利きで就任するとともに、FCバルセロナから終身名誉コーチの称号を得て、世界中を飛び回る生活を送っている。

私生活においては、スペインバルセロナとブラジルサンパウロに家を持ち、妻の早苗とふたりの子どもたちとともに季節によって行き来する生活を送っている。

双子である子供たちは、すでにバルセロナの下部組織に参加し、父親ゆずりの高度なテクニックを披露しており、将来が期待されているという。

最後に翼評から代表的なものを挙げて、この稿を締めくくりたいと思う。

「翼は間違いなくサッカーの申し子であった。翼にとってサッカーと出会えたことは幸せだった。もし彼がサッカーと出会わなければと想像すると恐ろしい」
カール=ハインツ=シュナイダー(ブンデスリーグの得点記録を次々と塗り替えた世界的ストライカー)

「彼とはよく比較されたけど、それは彼にとっても俺にとっても失礼なことだった」
ファン=ディアス(アルゼンチン代表として数々の栄光に輝いた選手。天才と呼ばれた)

「彼のプレイは誰にも真似ができなかった。そして、誰もついていけなかった」
若島津健(オランダリーグの名門アヤックスでGK兼FWとして活躍し、二刀流の使い手と異名をとった選手)

「翼ひとりが11人に匹敵した」
カルロス=サンターナ(翼と共にブラジル代表で活躍したストライカー)

「翼が俺の後継者だって? とんでもない。彼は孤高の存在。彼は誰の後継者でもない。誰も彼の真似なんてできない」
リバウール=ドゥトラ(バルセロナ、ブラジル代表とトップ下ポジションを翼へと継承した名選手)

「彼の功績は日本のサッカーレベルを10年分飛躍させたことだ。しかし、反対に世界のレベルを10年分落とした」
エリック=ファンサール(バルサ時代に翼を抜擢した名監督。ロベルト本郷判決に否定的であった)

「さらば、大空翼」
若林源三(ブンデスリーグ、B.ミュンヘンでシュナイダーとともに黄金時代を築いた世界的GK。翼とは小学生時代から親交があったが、後に決別した)

大空翼の時代(終わり)

文責:片桐宗政
著者略歴:将来を期待された選手であったが、事故で片目を失ったため、その後は日本サッカー協会で活躍。
Jリーグチェアマンを2期務める。
チェアマン引退後は分筆業で活躍。
大空翼とも親交があり、黄金世代の業績をまとめることに力を入れている。

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コメント

  1. みみん より:

    早苗ちゃんの名前がないようなのですけど、どうなったのでしょうか?まさか離婚したとか???

  2. 荒深小五郎 より:

    みみん様>そういえば、早苗ちゃんについて触れてませんね。迂闊でした。この作品を書いた頃にはまだ、ふたりの赤ん坊のことや、翼の弟のことが原作で判明していなかったような…また書きます。

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