休載を挟んだとはいえ、終了まで2年近くかかった日本対ドイツ戦。
マドリッドオリンピックの準々決勝でもあったこの一戦ですが、いろいろな出来事がありました。
どんな試合だったか、私も忘れかけている部分があるので、過去記事を読み返して整理してみました。
なお、長い記事なので、結果だけ簡単に知りたい方は下の目次から「得点経過」だけ見てください。
対ドイツ戦、基本情報
まずはスタメンですが、ドイツは守備の専門家シュミット兄弟が先発。
ブラジル戦ではサイドで活躍したタイガーボランがCBに。
カルツが中盤の底であるアンカーの位置に入り、守備的な布陣を選択しました。
ケガをしているミューラーとカルツをカバーする布陣です。
そのため、攻めはシュナイダー、マーガス、シェスターの三人のみとなります。
シュナイダーは試合前、監督でもある父親に「いざとなれば俺一人で点を取る」と宣言していました。
対する日本は、ケガ明けで不調だという次藤を先発から外し、CBは井川と曽我のふたり。
三杉はSBでの起用です。
キーパーは若林。
ツートップは日向と若島津で、新田は控えになっています。
対ドイツ戦前半
試合開始。
まずはシュナイダーがオーバーヘッド気味のボレーシュートを放ちますが、若林がキャッチ。
「その動きは読んでいた」とのことです。
日本の反撃。
翼がボールを持ちますが、シュミット兄弟が翼と岬をマンマークしています。
そこで、翼は三杉へとパス。
翼と岬が徹底マークされ動けないなら、自分がSBからゲームメイクをするという三杉。
早田にパスを送り、そこからゴール前にセンタリング。
若島津のポストプレイから日向がヘディングを放ちますが、それはタイガーボランがブロックします。
こぼれたボールは翼へ渡り、ドライブシュート。
しかし、このシュートは痛めている左拳にて、ミューラーがパンチングで防ぎます。
「上等だ!どんどん打ってこい!」というミューラー。
このあと、松山がイーグルショットを放ちますが、これをミューラーが右手一本でキャッチ。
その後、早田のカミソリシュートや三杉のドライブシュートも放たれます。
これは日本の作戦でした。
深く守るドイツに対し、遠距離からシュートを放ち、ミューラーを疲れさせようという作戦でした。
そうしたら、ドイツはラインを上げてくるだろうと。
この読みは当たり、ドイツはラインを上げます。
この頃、ベンチにいた新田はスタメンでないことにイライラしていましたが、石崎らに諭されていました。
一方、試合は三杉がゲームメイク。
翼と岬に必殺技があると聞いていた三杉は、中央に高いクロスを上げます。
しかし、これはカルツが野生の勘で阻止。
ですが、ボールは若島津を経由して日向へ。
日向の雷獣シュートが炸裂します。
このシュートに反応したミューラー。
左手だけではふっとばされると考え、アッパーカットで弾き飛ばします。
今度は岬によるコーナーキック。
高いクロスが入り、若島津が反応しますが、ドイツはタイガーボランが対応。
こぼれたボールをカルツがクリア。
ボールはシュミット兄弟に渡り、そこからシュナイダーへ。
シェスターとのコンビプレイでDF陣をかわし、シュートを狙いますが、若林がすばやく飛び出し、ヘディングでクリアします。
クリアされたボールは中盤で回されますが、ドイツの守りは堅く、攻め手がありません。
それを見たカルツはドイツのDFラインをさらに上げさせます。
あせりを感じた日本からシュミット兄弟がパスカット。
ボールは司令塔のシェスターに渡りますが、シュナイダーにマークがついているのを見て、マーガスを選択。
欧州一の高さを誇るマーガスがヘディングに行きますが、これは曽我がブロック。
こぼれ球をシェスターが取りますが、今度は井川が南米式スライディングでこれを奪います。
ボールは翼へ。
自分も南米仕込みだとばかりにドリブルでシュミット兄弟をあっさりかわします。
そこに並走してきた岬と本家ツインシュート。
このシュートはアバラを痛めているカルツの腹に命中します。
ふっとばされるカルツですが、ミューラーがこれを支えて止めます。
浮き上がったボールに日向がすばやく反応。
ダイビングヘッドに行きます。
一方、ミューラーは右手一本で止めにいきますが、吹き飛ばされます。
日本の先制ゴールかと思われましたが、ここはキーパーチャージの判定でした。
リスタート。
中盤で激しいボールの取り合いに。
混戦から抜け出した岬がドリブルからカルツをかわしますが、飛び込んできたタイガーボランに止められます。
タイガーボランは中盤を省略し、ゴール前にロングフィード。
マーガスが松山と葵をしのぐ高さで、これをシェスターにつなぎます。
反則気味のタックルで早田が阻止しようとしますが、なんとかボールはシュナイダーへ。
点が欲しいシュナイダーはペナルティエリア内に侵入。
井川と曽我が止めに来ますが、なんとかふっとばし、最後はオーバーヘッドファイヤー。
しかし、これも飛び出して来た若林に止められます。
このまま0対0で前半戦終了です。
対ドイツ戦後半
後半開始。
両チームとも交代選手なし。
ドイツはFWを0人にする0トップという戦略を取って来ました。
マーガスもシュナイダーも中盤近くまで下がっています。
これによって、日本のロングシュート作戦は使えなくなりました。
日本はとりあえず翼にパス。
岬と狭いスペースでパス交換しますが、反則気味にマーガスが岬を止めます。
こぼれたボールを三杉が拾い、翼と三杉のコンビプレイかと期待させますが、シュナイダーがこれを阻止。
再びこぼれ球になったボール。
最終的に追い詰められた葵がバックパスを選択しますが、ドイツの狙いはここにあり。
すばやくシュナイダーがボールを奪い、シェスターへパス。
ドイツ攻撃陣が3人に対し、日本のゴール前は曽我と井川のみ。
ふたりは健闘しますが、シュナイダーたちにかなうわけがなく、曽我は脚を負傷します。
早田も戻って来ましたが、シュナイダーがいち早くシュート。
しかし、さすがは若林、際どいながらも指を伸ばして、ファイヤーショットを弾き飛ばします。
「その位置はまだペナルティエリアの外と同じだ」と若林はシュナイダーを挑発します。
なお、ケガをした曽我は退場となります。
曽我の代わりに石崎がSBに入り、三杉はCBに戻ります。
試合再開。
翼が右サイドの石崎にボールを送ると、石崎がまさかのヒールリフト。
完全に成功はしませんでしたが、ひとりをかわし、ゴール前に高いクロスを送ります。
そして、ついに翼と岬の新必殺技「ハイスピードトルネードスカイアルファ」が炸裂。
あのミューラーが一歩も動けず、ゴールはネットを突き破り、看板までへこませます。
日本1点先制です。
(なお、ここで休載となりました。)
連載再開。
ドイツのリスタートで試合も再開。
カルツが楊枝を吐き捨て、本気モードに。
シェスターに代わり、ゲームメイクを始めます。
カルツはドリブルで切れ込んだあと、マーガスにパス。
そこからシュナイダーにつながり、オーバーヘッドファイヤーとなりますが、これを三杉が同じくオーバーヘッドで止めます。
このあと、見上さんの若林に対する回想が入りますが、あまり面白くなかったので、ここでは省略します。
本気のドリブルを見せたカルツが、翼と岬を抜きます。
そして、シュナイダーへ絶妙のスルーパス。
しかし、またもや抜群の飛び出しを見せた若林に止められ、シュナイダーが吹き飛ばされます。
このとき後半20分に達していました。
焦りが見え始めたドイツ。
それでも、カルツがゲームメイクをし、シェスターがミドルシュートを放ちますが、若林には通用しません。
パンチングで弾き飛ばします。
ドイツのコーナーキック。
ここでタイガーボランに回想が入り、高さでゴールを狙う素振りを見せます。
ですが、作者は甘くなく、カルツのコーナーキックは若林にキャッチされます。
キャッチした場所は、カルツの知っている若林の飛び出せる範囲より広がっていたとのことです。
日本はカウンター攻撃。
前線に残っていた日向と若島津にボールが渡り、見事なワンツーと日向の直線的ドリブルにドイツ選手がふたりかわされます。
直線的ドリブルを浴びたマガトゥーなどは、体がコマのようにくるくる回されるという屈辱的な吹き飛ばされ方でした。
日本の得点チャンス。
ミューラーが日向の前に出てきたので、日向は若島津にヒールパス。
あとは流し込むだけでしたが、このときタイガーボランが後ろから捨て身のタックル。
イエローカードが出て、日本にPKが与えられます。
PKを蹴るのは日向。
ヤマを張って左へ飛ぶミューラーに対し、日向の選択はど真ん中。
ミューラーはなんとか脚に当てますが、強烈なシュートに脚を吹き飛ばされます。
日本の追加点となりました。
2-0、この時点で残り時間20分となります。
攻めなければならないドイツは、シュミット兄弟を下げ、ハインと新キャラのFWゲーテを投入。
ゲーテは日本の弱点は石崎だと的確に見抜き、石崎を交わし、チャンスを作ります。
最終的にシュナイダーがいつもより強力なパワフルファイヤーショットを放ちます。
若林はボールごとゴールに押し込まれそうになりましたが、とっさの判断でボールを上に放り投げ、ゴールを防ぎます。
ショートコーナーからゲーテが石崎をかわしますが、三杉がカバーして防ぎます。
三杉は「汚名返上しろ」と石崎にパスを出し、石崎が右サイドを上がります。
このとき、若島津はタイガーボランから浴びたタックルで、全力疾走ができない体になっていました。
石崎は日向を囮に翼と岬に高いクロス。
例の必殺シュートを狙ってのことですが、これはカルツがイエローカードをもらいながらも岬の脚をつかみ阻止します。
このあとフリーキックから翼が無回転シュート、コーナーキックから三杉がフライングドライブシュートを放ちますが、ミューラーがことごとく阻止します。
しかし、ミューラーの左手はどんどん痛みが増していました。
なお、この間、若島津に代わり、新田が投入されます。
早田までがコーナーからカミソリシュートを放ち、ゴールを狙いますが、ミューラーがワンハンドキャッチ。
そこからカルツとゲーテを中心にドイツが攻め、最終的になんとタイガーボランが雷獣シュート。
シュートが若林の正面だったため、シェスターがわずかに触ってコースを変えます。
一瞬、青くなる若林ですが、それでも指だけで弾きます。
ですが、ボールはサイドバーに当たり反対方向に。
若林が飛びつきますが、ここで悲劇が起こります。
走り込んできたシュナイダーのファイヤーショットが若林の背中を切り裂いたのです。
シュナイダーにイエローカード。
出血のひどかった若林はすぐに救急車で病院に運ばれます。
そして、日本のゴールマウスを守るのに登場したのは、あの森崎有三でした。
森崎が投入されたわずか3分後、連携プレイからシュナイダーがゴールを決めます。
さらに、2分後にはもう1点、シュナイダーのファイヤーショットが炸裂。
ドイツ、あっという間に同点に追いつきます。
同点に追いつかれた日本は、”キーパーが森崎だけに”点を取りに行きます。
黄金コンビのプレイから最終的に日向が雷獣シュートを放ちますが、これはミューラーが阻止。
こぼれ球をサイドの選手マックスが奪い、石崎をあっさりとかわしてゴール前にクロスボール。
マーガスがヘディングでつなぎ、ゲーテが森崎をあわやドリブルでかわすプレイ。
しかし、森崎がなんとか左脚を懸命に伸ばしてこれを防ぎ、すばやくクリア。
高いボールが翼と岬の上に飛びます。
例の必殺シュート炸裂かと思われましたが、途中出場していたハインが翼をつかみ、これを阻止します。
審判はこの試合、こういうプレイが多いことにおかんむりで、「次はレッドを出すよ」と警告します。
日本のフリーキック。
翼と松山のトリックプレイから最終的に日向がワイルドタイガーショットを放ちますが、ミューラーが右腕を懸命に伸ばして弾きます。
ですが、ボールはサイドバーやクロスバーに当たり、複雑なバウンド。
そこに飛び込んだのが新田。
ポストを三角飛びで蹴り、オーバーヘッド気味の隼ボレー。
このシュートをミューラーは腹で防ぎ、ゴールラインギリギリで止めます。
反対に「チャンスだ!」と前線へロングスロー。
ドイツの前線三人衆が点を狙いますが、マーガスに早田がカミソリタックル。
これは決まるのですが、運悪く(都合よく?)、ボールはシュナイダーの前に転がります。
最終的にジャンピングファイヤーボレーを放ちますが、これを三杉がブロック。
ですが、ブロックした位置は心臓のある左胸でした。
倒れる三杉。
ボールはまだ生きていたので、シュナイダーはオーバーヘッドを放ちます。
森崎に止められるわけもなく、ドイツ3点目を取り、逆転です。
ここで、翼ファン以外にも話題になった三杉淳の幽体離脱シーンが入ります。
心霊現象が起こりましたが、なんとか復帰(蘇生?)した三杉。
一旦、ルール上の理由でピッチの外に出てドクターチェックを受けます。
この時点で残り時間は3分とアディショナルタイム。
ドイツは全員守備を選択。
逃げ切りを狙います。
三杉もピッチに戻り、日本は翼がドライブシュート。
ミューラーがワンハンドキャッチに行きますが、威力があったため、こぼれます。
日向が飛び込み、ヘディングに行きますが、守備に回っていたマーガスがこれを防ぎ、シェスターがオーバーヘッドでクリア。
そのあと、三杉が天使たちに囲まれながら、ドライブシュート。
しかし、これもミューラーには通用しません。
とはいえ、ミューラーは左腕全体が動かないほどの重傷になっていました。
ここでアディショナルタイム8分が告げられます。
ドイツは一応、控えキーパーのシュタインが準備をしていました。
ミューラーはといえば、師匠のギュンターコーチに脱臼しかけている骨を元に戻してもらいます。
岬のコーナーキックから試合再開。
ミューラーがパンチングでボールを弾きますが、飛んだ先は翼の前。
ジャンピングボレーに行く翼でしたが、マークに着いていたカルツが止めます。
ドイツは下がりすぎも良くないと考え、ラインを少し上げます。
それを見て下がろうとする翼に対し、三杉が「前にいてくれ、この位置ではボクがゲームメイクする」と発言。
三杉相手にドイツは三人がかりでボールを奪いにいきますが、三杉は華麗なテクニックでこれをかわし、松山にパス。
フリーになっていた松山。
ここでフルパワーイーグルショットが炸裂。
ゴール前にいたタイガーボランが脚を伸ばして防ぎますが、あまりの威力に脚がしびれます。
再びこぼれるボールに日向と岬がツインシュート。
しかし、これは冷静に対処したミューラーがパンチング。
コーナーキックになります。
ショートコーナーから、翼と岬が黄金コンビで切れ込みます。
ドイツはスライディング部隊で防ぎに行きますが、ペナルティエリア内なので鋭いスライディングはできません。
岬が珍しくシュート。
ですが、これはシュナイダーが冷静にブロックし、さらにクリア。
ボールは前線の左サイドを走るゲーテへ。
(ここで再び休載となりました。)
連載再開。
残りのアディショナルタイムは4分。
ボールキープに入ろうとしたゲーテですが、三杉が近づいて来たため、迫力に押され、横にパス。
そこに走り込んでいたシュナイダー。
森崎が前掛かりになっていたのを見ていたシュナイダー。
ファイヤーショットではなく、ループシュートを放ちます。
このとき、奇跡が起こり、森崎がこのシュートを指一本で弾きます。
ドイツのコーナーキックですが、時間稼ぎのためゲーテとマックスが給水。
さすがに露骨だったのでイエローカードが出ます。
残り3分。
日本はボールを取りに行きますが、ドイツはさらに時間稼ぎ。
交代枠がひとつ余っていたので、マックスを下げ、ゆっくりとミレウスが入ります。
残り2分。
今度はシェスターとマーガスが時間稼ぎのボールキープ。
しかし、この試合、あまり目立っていなかった葵が飛び込んできて、日本ボールに。
ここで翼が「最後まであきらめるな!」と吠えます。
残り1分。
石崎が翼と岬に高いクロスを上げます。
例の必殺シュート狙いです。
カルツがレッド覚悟で、翼のユニホームをつかんで阻止にかかりますが、ユニホームがちぎれ、必殺シュート炸裂かと思われました。
が、そこにいたのはシュナイダー。
オーバーヘッド気味にこのシュートを防ぎます。
再び上空に上がるボール。
今度は翼と岬のオーバーヘッドツインシュートです。
放たれたシュートでしたが、タイガーボランが飛び上がってブロック。
さらにはミューラーがクリアしますが、ここで日向が脚を伸ばしてカット。
ですが、キープはできず、ボールはゴールラインを出る勢い。
ここで、あきらめていない男がひとり。
翼がこのボールに井川の脚を利用してスカイラブハリケーンの要領で飛びつき、折り返します。
そこに日向が飛び込みワイルドタイガージャンピングボレー。
日向の放ったシュートにミューラーの手は届きませんでしたが、シュートはゴール枠内に向かっていませんでした。
一瞬、「勝った!」と思ったドイツイレブン。
日本イレブンたちも絶句していましたが、ひとり走り込んでいた男がいました。
俊足の隼ファイター新田瞬です。
日向のシュートは実は逆サイドに走り込んでいた新田へのパスだったのです。
流し込んだ新田、これで同点ゴール。
シュナイダーが審判に対し、「先にタイムアップしていたのではないか?」と抗議しますが、覆りません。
3-3になり、15分ハーフの延長戦となりました。
そして、ここで再び休載なのですが、キャプテン翼マガジンの発行が発表され、読者は驚愕します。
対ドイツ戦延長前半
キャプテン翼マガジンが刊行され、延長戦開始。
日本は井川が脚を痛めたため、次藤が投入されます。
ドイツは交代なしです。
延長開始早々、ドイツにチャンスが。
高さを生かした攻めから、シュナイダーが正調ファイヤーショット!
しかし、これは投入されたばかりで元気な次藤がパワースライディングで防ぎます。
ボールを奪った日本。
すると、カルツへ一直線に向かっていった翼がヒールリフト。
このヒールリフトはいつもと違いました。
誰かのパスに頼らず、ハイスピードトルネードスカイアルファを撃ちたいと思っていた翼。
高くヒールで上げたボールによって、そのシュートが炸裂。
これが決まります。
またしても、ミューラーが反応できませんでした。
4-3と日本リードとなります。
反撃に出るドイツ。
このとき、キーパーが若林じゃないんだから誰がシュートを撃っても決まるかも?とドイツ選手たちが今更ながら気づきます。
最終的にゲーテがシュート。
しかし、このシュートをあの森崎が鮮やかにキャッチします。
森崎曰く「シュナイダーのシュートばかり見ていたので、今のシュートなんか遅く見えた」とのこと。
左サイドでフリーだった早田に森崎がパス。
早田は高速ドリブルで駆け上がります。
中央に翼と岬がいるのを見たカルツは、例のシュートだけは阻止しなくてはと走り込みますが、ふたりは囮。
その後方にいた日向に早田はパス。
「ライトニングダイレクトボレー雷獣シュート!」が放たれます。
ミューラーは反応しましたが、左サイドのシュートに左腕が上がらないため右腕で取りに行き、一歩及びませんでした。
日本、延長前半で追加点です。
5-3となります。
リードして沸く、日本サポーター。
しかし、観客からドイツコールも起こります。
全員攻撃に入るドイツ。
シュナイダーが松山と葵のマークを物ともせず、シュートに行きますが、翼や日向も加わって、これを阻止。
そこにタイガーボランが突っ込んできて、シュナイダーと「合体フルパワーツインシュート」。
今度は日本側が葵を盾にして(?)、4人がかりでブロック。
岬がそれをクリアし、前線にいた新田へとパス。
ミューラーと1対1になった新田はループシュート。
なんとか指一本で防ぐミューラーですが、新田が懸命のスライディング。
これが決まってしまいます。
6-3、日本延長前半だけで3点リードとなります。
とにかく攻めるしかないドイツ。
シュナイダーがセンターサークルからファイヤーショットを放ちます。
意表をついた「長距離弾道ファイヤー!」でしたが、なんと、あの森崎がこれをパンチングで防ぎます。
続いてドイツのコーナーキック。
シェスターは後方から上がって来たミューラーにボールを送ります。
勢いが着いたジャンピングヘッドでしたが、これをまたしても、あの森崎が左手一本で弾き出します。
再びドイツのコーナーキック。
今度はシェスターが直接ゴールを狙ったテクニカルなシュートでしたが、これもまたあの森崎が弾きます。
しかし、何度も幸運(まぐれ?)が続くわけがなく、ボールはシュナイダーの前に。
ただ、シュートコースはあまりありません。
「来るなら来い!」とあの森崎が強気です。
シュナイダーは素早く脚を振り抜くコンパクトファイヤー。
コースは森崎の正面。
「正面ならキャッチできる」と森崎。
が、そのときシュートと森崎の間に入る選手がひとり。
カルツでした。
カルツは側転し、シュナイダーのシュートを叩き落としてバウンドさせます。
ボールは森崎の股間をすり抜け日本ゴールに。
ドイツ、1点を返しました。
6-4の状態で試合は延長後半に入ります。
対ドイツ戦延長後半
延長後半開始。
まずは日向の直線的ドリブルとタイガーボランが激突。
ボールを拾ったのは翼。
カルツが近づいて来たので、ドリブルでカルツとの対決を選びます。
カルツはリバウールばりのサブマリンディフェンスで、なんと翼からボールを奪います。
ボールはシェスターへ。
素早くシェスターはバックパス。
そこにはシュナイダーがいたのですが、その位置は自軍ゴール前付近でした。
前線には長身の選手たちがいました。
シュナイダーは彼らにパス。
高さに勝るドイツはヘディングでボールをつなぎます。
高さに定評のある日向がこれを阻止しますが、こぼれ球はカルツへ。
シュート体勢に入るカルツ。
ブロックに行く日向でしたが、間にタイガーボランが入ります。
カルツのシュートをタイガーボランが自軍方向に雷獣シュートで撃ち返し、さらにはそれをシュナイダーが「反動蹴速迅…ファイヤー!」で撃ち返します。
森崎がボールは見えないものの、身体を投げ出して防ぎに行きます。
なんとか肩口に当たったものの、龍が見えたシュートを森崎が防げるわけもなく、吹っ飛ばされてゴールとなりました。
これで6-5、ドイツが1点差に詰め寄りました。
延長後半6分のことでした。
森崎が治療を受け、ピッチに復帰します。
日本のゴールを守るのはもはや彼しかいません。
追い上げムードのドイツは「PK戦になればこっちのものだ。俺はPK戦に負けたことがない」とミューラーが語ります。
しかし、日本にそのつもりはありません。
日本は自陣でボールを回す、いわゆる「とりかご」の形を取ります。
ですが、これは時間稼ぎではなく、ドイツが前掛かりになるのを狙っていたのでした。
三杉にマーガスとゲーテがプレッシャーをかけてきますが、これを華麗なテクニックでかわし、前線にパス。
これが前線にいた新田と日向に渡りました。
まずは日向が雷獣シュート。
これは懸命に戻ったタイガーボランが長い脚を伸ばして阻止。
こぼれたボールを新田がジャンピングボレー。
これはミューラーが右手一本で弾きます。
しかし、ここに翼と岬が走り込んでいます。
もちろん、狙うはあのシュートです。
「これで決まりだ!」と日向と新田。
ですが、ただひとりあきらめぬ男、カルツが身体を差し出し、このシュートを防ぎます。
カルツのアバラが折れる音がし、脇腹から鮮血が吹き出しました。
カルツ命がけのブロックでしたが、ボールは翼へ。
焦るドイツメンバー。
翼の選択はタッチラインにボールを出すことでした。
ここに来て、フェアプレーです。
カルツは救急車で運びだされました。
審判団の協議で、アディショナルタイムは6分となりました。
ドイツはカルツの代わりにアウスレンダーが投入されます。
ドイツも交代枠を使い果たします。
ドイツはフェアプレー精神から、スローインにて翼にボールを渡します。
そこに向かっていくシュナイダー。
激突するふたり。
なんとボールはふたりの間で回転しながら、くすぶります。
これを反応した葵がカニバサミでキープし、岬へパス。
翼とシュナイダーは脚がしびれていて動けないため、岬は日向へスルーパス。
反応したのはタイガーボラン。
この試合、何度目かの日向との激突です。
これも互角で、再び、宙を舞うボール。
これを新田がジャンピングボレーに行くところを、日向もオーバーヘッドで脚を出し、変則的な形でのツインシュート。
ブレ球がドイツゴールに向かいますが、集中していたミューラーが冷静に右手一本でワンハンドキャッチ。
ミューラー、最後の見せ場でした。
ミューラーからのスローイン。
連携プレイから、マーガスがシュナイダーの元にボールを落とします。
それに対し森崎が「俺が守る!ペナルティエリアの外からのシュートは決めさせるものか!」と頼もしいセリフ。
シュート体勢に入るシュナイダーですが、これは回り込んできた翼がスライディングで阻止。
「ゴールは決めさせない。残り時間、俺が君のマンマークに付く」と宣言します。
こぼれたボールは石崎の元へ転がっていました。
ドイツ選手がふたりがかりで奪いに行きますが、石崎も「そうやすやすと渡さないぞ」と自信ありのプレイ。
ですが、健闘するものの、そこは石崎。
最終的にはドイツボールとなり、シェスターの元へ。
シュナイダーが翼にマークされているため、シェスターはマーガスへパス。
ヘディングに行くマーガスですが、これには次藤が対応。
とはいえ、得点嗅覚が鋭い男シュナイダーの元へ、またしてもボールが向かいます。
オーバーヘッドに行くシュナイダー。
「オーバーヘッドなら負けない!」と、翼もオーバーヘッドでこれに対応。
そこに岬が割って入り、クリアします。
ボールは飛び出して来ていたミューラーが奪います。
ミューラーはシュート気味のパスをシュナイダーに送ります。
シュナイダーダイレクトで蹴る姿勢を見せましたが、これはフェイク。
ボールを一旦止め、翼のブロックをかわします。
そして、左脚で「レフトフットファイヤー!」を放ちます。
このシュートは岬が腹で受け、吹っ飛ばされそうになるところを次藤に支えられます。
ですが、再びボールはこぼれ、またまた(都合よく?)シュナイダーの前に。
今度は右脚でファイヤーショットを放ったシュナイダー。
しかし、「シュートブロックはわしの専売特許タイ!」と次藤がブロックし、防ぐのでした。
高く舞い上がったボールは跳躍力のあるタイガーボランが対処。
マーガスが三杉に競り勝ち、ボールをシュナイダーの脚元に落とします。
ドイツ得意のパターンです。
「ランニングファイヤー!」を放つシュナイダー。
翼が足を出し、シュートブロックに行っていましたが、パワーはシュナイダーが上。
「ぶっこ抜きパワーファイヤー!」と、もはやパターンがなくなりヤケクソのような名前が付くシュートを放ちます。
「防げない!」と焦る翼でしたが、ここに日向小次郎あり。
ふたりがかりで、シュナイダーの強烈なシュートを防ぎます。
こぼれ球を拾ったのは翼。
クリアではなくドリブルを選択。
シェスターがタックルに来ますが、ジャンプでかわし、さらには飛び込んできたタイガーボランを利用して二段ジャンプ。
最終盤になって発揮される翼のスーパープレイ。
ドイツのプレイヤー5人が翼ひとりにかわされます。
残るはミューラーひとり。
右腕を差し出し、構えるミューラー。
集中しています。
ここで、身体がよろけた翼。
体勢を崩しながらもシュートを放ちます。
一見、打ち損じに見えたこのシュート。
実は、密かにどこかで使えるのではないかと磨いていた技でした。
「ラ・コールニャ海岸アトランティックオーシャン水切りショット」と石崎に命名されたこのシュート。
バウンドするたびに、大きく旋回し、ドイツゴールへと吸い込まれたのでした。
7-5。
ここで審判が試合終了の笛を吹き、120分に渡る長い試合が終わったのでした。
「すまん、カルツ……」と天を仰ぎ、涙するシュナイダーでした。
いろいろあった長い試合でした。
連載自体は休載を挟んだとはいえ、2年近くかかりました。
得点経過
前半は0-0。
後半、まずは翼と岬の必殺シュートで1-0に。
続いて、日向がPKを決め2-0。
しかし、若林から森崎にキーパーが変わるとシュナイダーが立て続けに決め2-2。
さらに三杉の心臓を一瞬止めたあと、シュナイダーが決め、2-3。
後半、残りわずかのところで新田が滑り込み、3-3。
延長前半、まずは翼と岬の必殺シュートで4-3。
続いて、日向が雷獣ボレーシュートを決め5-3。
さらに新田が俊足を活かしたスライディングシュートを決め6-3。
延長前半終了間際、シュナイダーのシュートをカルツが側転してコースを変え、これを決め6-4。
延長後半、シュナイダーが反動蹴速迅…ファイヤーを決め6-5。
延長終了間際、翼がラ・コルーニャ海岸アトランティックオーシャン水切りショットを決め7-5。
得点者は日本は翼が3点、日向が2点、新田が2点。
ドイツはシュナイダーが4点、カルツが1点となります。
シュナイダーはここで負けましたが、全試合ハットトリックを決めています。
大会得点王の可能性はまだある!?
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